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「金利の低いローンに借り換えたいけれど、諸費用がいくらかかるのか分からない」。借り換えを考えるとき、多くの人がここでつまずきます。
借り換えは、新しいローンを借りて、今のローンを一括で返す手続きです。そのため、最初に家を買ったときと同じように、手数料や登記の費用、税金がかかります。住宅金融支援機構も、借り換えを考えるときは「諸費用を含めた総費用」で判断し、効果はシミュレーションで確かめるよう案内しています。
この記事では、諸費用の内訳と、得をするかどうかを自分で試算する手順を説明します。なお、借り換えの審査で見られるポイントは別の記事で解説しています。
借り換えでかかる諸費用の内訳
借り換えの諸費用は、大きく「新しいローンを借りるための費用」と「今のローンを終わらせるための費用」に分かれます。
| 費用 | かかる場面 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 事務手数料(融資手数料) | 新しいローン | 金融機関により異なる(借入額に一定率をかける方式や定額の方式など) |
| 保証料 | 新しいローン | 金融機関・保証会社により異なる(保証料なしの商品もある) |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 新しいローン | 契約金額1,000万円超5,000万円以下なら2万円、5,000万円超1億円以下なら6万円 |
| 抵当権設定登記の登録免許税 | 新しいローン | 債権金額の0.4%(本則) |
| 抵当権抹消登記の登録免許税 | 今のローン | 不動産1個につき1,000円(土地と建物なら2個分) |
| 司法書士報酬 | 設定・抹消の両方 | 依頼先により異なる |
| 一括返済の手数料 | 今のローン | 金融機関・返済方法により異なる |
登録免許税は「軽減税率」が使えないことが多い
家を買ったときの抵当権設定登記は、条件を満たせば税率が0.1%に軽減されます。ただし、この軽減は住宅の新築・取得のための借入れで、新築・取得から1年以内に登記するものが対象です(租税特別措置法第75条)。
借り換えはふつう、取得から1年以上たってから行うため、本則の0.4%で計算されることが多いと考えておくと安全です。個別の扱いは、登記を依頼する司法書士に確認してください。
たとえば借り換えで2,500万円を借りる場合、設定登記の登録免許税は本則で10万円になります。
保証料は「戻ってくる分」もある
今のローンで保証料を一括で前払いしている場合、借り換えで早く返し終えると、前払いした保証料の一部が戻る場合があります。戻る額は保証会社と契約内容によって違うので、今の金融機関に確認しましょう。
一方、新しいローンの保証料は、一括で払う方式と金利に上乗せする方式があり、どちらを選ぶかで諸費用の見え方が変わります。比べるときは、上乗せ分も含めた実質の金利で比べることが大切です。
得をするかの試算のしかた
基本の式
借り換えで得をするかは、次の式で考えます。
今のローンを続けた場合の残りの総返済額 −(借り換え後の総返済額 + 諸費用)
この答えがプラスなら得、マイナスなら損です。毎月の返済額が下がっても、諸費用を足すと総額では損になることがあるので、必ず総額で比べます。
試算の手順
- 今のローンの情報をそろえる: 残高、残りの返済期間、今の金利、金利タイプ(返済予定表で確認できます)
- 借り換え先の条件を集める: 金利、事務手数料、保証料の方式、団体信用生命保険の内容
- 両方の総返済額を出す: 住宅金融支援機構の「借換えシミュレーション」など、今のローンと借り換え後を並べて試算できるツールを使うと便利です
- 諸費用を足して比べる: 登録免許税・印紙税・司法書士報酬・手数料などを合計する
仮の数字で見る「損益の分かれ目」
あくまで仕組みを理解するための仮の数字で計算してみます(元利均等返済、金利は全期間一定と仮定)。
例1:残高2,500万円・残り25年・金利1.8%→1.3%(0.5%下がる)
- 今のまま返した場合の総返済額: 約3,106万円
- 借り換え後の総返済額: 約2,930万円
- 差: 約177万円
ここから諸費用を引きます。登録免許税10万円、印紙税2万円、抹消登記2,000円に、事務手数料(仮に借入額の2.2%として55万円)、司法書士報酬など(仮に10万円)を足すと約77万円。差し引きで約100万円の得になります。
例2:残高1,500万円・残り15年・金利1.8%→1.5%(0.3%下がる)
- 総返済額の差: 約37万円
同じ考え方で諸費用を見積もると、登録免許税6万円、印紙税2万円、事務手数料(仮に2.2%で33万円)、司法書士報酬など(仮に10万円)で約51万円。諸費用のほうが大きく、借り換えると損になります。
このように、残高が少ない・残りの期間が短い・金利差が小さいほど、諸費用に効果が食われてしまいます。「金利差が何%以上なら得」という目安だけで判断せず、自分の数字で計算することが大切です。
試算のときに見落としやすい点
- 金利タイプが変わる場合: 変動金利から固定金利に移るなど、金利タイプが変わる借り換えは、将来の金利によって結果が変わるため、単純な総額比較だけでは判断できません(変動から固定への借り換えの考え方は別の記事で解説しています)
- 団体信用生命保険の違い: 保障の範囲が広い団信は、金利の上乗せがあることがあります
- 返済期間を延ばす場合: 期間を延ばすと毎月の返済は下がりますが、総返済額は増えやすくなります
- 今の金融機関への相談: 借り換えを検討していると伝えると、今の金融機関が条件の見直しに応じることもあります。諸費用がかからない分、比べる価値があります
まとめ
- 借り換えの諸費用は、事務手数料・保証料・印紙税・登録免許税・司法書士報酬・一括返済の手数料など
- 抵当権設定登記の登録免許税は、借り換えでは本則の0.4%で計算されることが多い
- 得をするかは「残りの総返済額の差 − 諸費用」で判断する
- 残高・残りの期間・金利差が小さいと、諸費用で損になることがある
- 目安の数字ではなく、自分の条件で試算し、必要なら専門家や金融機関に相談を
参考にした情報
– 借換融資の検討(【フラット35】住宅金融支援機構)
– 住宅ローンシミュレーション(住宅金融支援機構)
– No.7140 印紙税額の一覧表(その1)(国税庁)
– No.7191 登録免許税の税額表(国税庁)
– 登録免許税法 別表第一(e-Gov法令検索)
– 租税特別措置法 第75条(e-Gov法令検索)
